うにゃにゃ物語
太郎吉野(写真:法螺@うな2フォトギャラリー by MSHIBATA)

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 おれ、ねこ。
 なまえは「うなぎ2号」だけど、長いんで「うな2」って呼ばれてる。
 
 なんでねこなのに「うなぎ」なのか、なんで「2号」なのかは、説明しだすと長くなるんで、説明しない。

 にんげんのお母さんとお父さんと、それから家来の3人とくらしてる。あ、おれにミルク飲ませてくれてんのが、家来。



 生まれてすぐにおれ、実の母ちゃんからはぐれて迷子になって、カラスに食われそうになってたのを、今のお母さんに助けられたんだそうだ。おれ、覚えてないけどな。
 おれの左目が見えないのは、そのときカラスに突つかれたせいなんだそうだ。
 気にしねーけどな、おれ。

 なのに、おれ見たにんげんはみんな、「かわいそう」って言うそうなんだけど、なんでだ?
 おれ、かわいそうじゃねーぞ。
 同情すんならエサくれよ。



 家来はいつも、かいがいしくおれの世話やいてくれるよ。うん。
 おれの言うことは、なんでもきくな。

 だけどこの家来、やたらとおれを変な乗り物にのせてみたり、奇妙なやつと戦わせたりしたがるんだ。
 めんどくせーんだけどな、おれ。

 しょーがないから、少しは相手してやるんだけど……
 そうすると、家来は「きゃっきゃ」言ってよろこぶからな。
 家来を楽しませてやんのも、主人の務めだもんな。



 でもな、おれのこと、お母さんの花畑につれだしたり、車にのっけてどっか連れてこうとすんのは、やめてほしんだよな。

 おれ、ねこだから、冒険なんてしたくねえよ。
 ねこだからな、箱に入って川下りしたり、牛の牧場にまよいこんだり、はてはアメリカ大陸横断したりすんのは、まっぴらごめんだね。

 だからおれ、家来があんまりチョーシこいていろんなことさせっと、思いきりふきげんな顔してやるんだ。
 あわてるぜ、家来。



 でも、おれはねこで、まだこどもだからな。遊ぶのは大好きなのだ。
 おれらは、遊びながらいろんなこと勉強してくんだぜ。えらいだろ。
 だからな、おれらの遊びは真剣勝負なんだぜ。

 だから家来は、もっとおれと遊ぶように。
 寝る間も惜しんでおれと遊ぶように。
 わかったかな?

 じゃ、おれ、寝るから、家来は、あとをかたづけておくように。
 起きたら、また遊ぶからな。お前は寝るなよ、家来。
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