都市のスキマ(その2)
京阪神スキマ物件行き当たりばったり

高層ビルの地階の、整然と並ぶドアの中には、ビルの臓物がびっしりと収まっている。

ここは、阪急グランドビルの地下4階。
廊下の手前には、巨大な従業員食堂がある。
線路と地上のスキマには、店がある……のはよくあるんだけど、ここは、「本屋」と「酒屋」の兼業店。
これは、かなり珍しい。

兼業店ではあるが、酒に関しては、珍しい地酒などもある店で、地元でも評判らしい。
本に関しては……コメントは避けさせていただきます……

阪急春日野道駅高架下。
ポルノ映画館であります。
両側を、かなり「やったるで!」という感じのお店に挟まれ、鞄屋の安売りワゴンの侵略を受けながら、ひっそりと入り口を開けております。

しかも、ここはミナミのど真ん中。
向いには、有名ラーメン店、その隣は、かのNGKシアターで、連日行列ができてます。
同じ並びの数歩先には、「ワッハ上方」だのジュンク堂書店だのもあって……

真っ昼間、ここに入るには、かなりの勇気がいる、と見た。
お墓の団地。
大都市のお寺の墓地は、スーパーやらマンションやらにじりじりと狭められ、何年も墓参がなく供養料も払われない墓は、まとめて積み上げられてしまうのだった。とってもドライ。

剣型や星のついた墓石は「戦没者」の墓なのだ、と昔子供のころに教わった。
天辺あたりに積み上げられた墓石のひとつには、「陸軍曹長 何の某 明治三十七年〇月×日旅順近郊にて戦死」と墓銘があった。

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