| 紅い灯からすの 2011年 |
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なんとなく今年が終わってなんとなく 新年となり空にクレーンの突き立って 「今年こそ」なにが「こそ」だっけかと掌に 「？」綴って空はあおぞら 新しきカレンダー見るごとあの人は あれから何年これから何年
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なにもかも水に流してざぶざぶと こころはいつもパイプフィニッシュ がんばろうがんばってればそのうちに 車窓の闇に灯の飛びすさび
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かなしみもうれしさもまたくやしさも 空き缶一個流れて日暮れ この橋をうつむきながら揺れながら 肩寄せ合ったあの夜のブルース 百均で百円ライター三つで百円 使い切ったら禁煙の誓い三度目 窓辺から腐った水のほのかに匂い 春間近しの三寒四温
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この駅で海を見ながら待っていた あの日あの人来ないでカモメ
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本を読む君の後れ毛陽に揺れて 阪急電車はまもなく十三 あの山の向こうを赤く染めていた 禍々しき夜の甦りし３・１１
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いつかもし津波きたならこのタンク どこをゴールに蹴りこまれるやら
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泣きながら昨夜くだったこの坂を のぼって見上げた空には花が
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爛漫の花の下にて我れ犬の うんこを踏みて泣きっ面のケンケン ベーグルと缶ビール1本南風 これがしあわせこれがしあわせ
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ケンメリのスカイラインに Dock of The Bay チャイナタウンにジャスミンティ 春風と言うにはきつい風の中 前のめりに走る君追う我もまた前のめり 不意打ちに漂う香り街でふと 腐臭を連れてやってくる夏 この坂をこの踏切をこの海を ふと甦り立ちつくす夏
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裏窓からは線路が見える夜には ぎらりと線路が光る貨物列車がけだるく過ぎる 六月にはね、いい想い出しかないのと呟き 泣いていたあんたが逝った六月曇り時々雨 あんたね、いいかげんにしときなよ 六月の猫は笑って駆け去った
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中心気圧９７０ヘクトパスカル最大風速３０メートル 海峡に兎が走って午前5時25分 ふと見れば空にぽっかりまたあの星座 アホの夜空にブタのケツ浮く あのあたり…あそこのテトラに死体がと 指さし示す指には真っ赤なマニュキュアが 昨日死体があがった海は雨 真っ赤な林檎がぷかぷか南へ
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階段を海へとくだる麦藁帽子に 白いワンピは夏のお嬢さん ああ葉月港の丘は火の色す 君も雛罌粟われも雛罌粟 あの夏の白い帽子とワンピース ふと階段に見て盂蘭盆会
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飛行機は夏の名残りを引きずりながら 劇場かすめて着陸態勢 さかみちにコロッケひとつ転がっていて ねきべそあのこはあれからどこへ 映画見て駅とは逆の坂道を とぼとぼ下って振り返れば君もとぼとぼ ごろごろと猫と一緒に昼酒の 河原をごろごろ転がってゆく
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ババ色の川面みつめてババ色の 人生イロイロそれでもやっぱり橋渡る 冬の夜をクノールスープで寒凌ぎ 古書店5坪に裸電球の孤高あり
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満月がくきりと空にまん丸で うそじゃないよとつぶやいてもひとり 今日この部屋に西陽があたりましたという唄を ふと思い出しては雨上がりの十月
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階段を一段ごとにうめいては痛風の秋 乗り逃がした特急を見送る しょうがない雨の日はしょうがない公園の ベンチも濡れて弁当使う場所もない
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さかみちをあんたの踵蹴りながら なのにあんたは振り向きもせず 土砂降りの雨が降っても泥だらけでも 平気だったの昔だったら…ね…
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もうじき出る街これからゆく街 どっちからも虹見えて雨上がり あちらこちらと夕まぐれとりつく島に ぽつりと雨の日曜の夜 轟々と冬の嵐の吹き荒れて 襟掻きあわす今日クリスマス
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