| 紅い灯からすの 2013年 |
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こんな風に今年もまたもや年が暮れ そばでも食ったらうちに帰ろう 旅に出て記念の写真を撮りました 通勤寄り道約20分旅の果て 熱燗を思いつ雪の舞う道を 小走り信号駅はすぐそこ
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阪神は大阪梅田一番地 換え芯売る店あらずや燕 パリパリとヘリコ飛ぶ空曇り空 それにつけても便所はいずこ
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くもりぞらにはすこしでも陽がさしてれば それだけでとてもうれしいあたたかい たんぽぽを跨いだ猫の振り返り にやり笑って前肢舐めた
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町雀桜の木の枝鈴なりに 浮かれ騒いでチュチュンがチュン 満開に咲いた桜の木の下で ふたり並んで海を見ていた
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電車からとんがりお屋根が見えるころ 窓を少し押し上げて海のきらきら流し込む 春だからむふふが少しうわっすべりの 山陽電車はもうすぐ海です
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寝過ごして降りたら初めて来る町で なにげに気分で花買って帰る 昼飯を思案の行く手に寝そべった 猫がごろごろ三回転半 前栽の赤いさつきの植え込みに 尻尾がゆらゆら一本二本
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こいさんはスカートひらりと翻し ついと顎上げ「もう来ンといて！」 てろてろと往きつもどりつ川っ縁 手の汗拭って空にはとんび もんどりうって転んでも泣かずに起きて みっちゃんえらいぞおうちはもうそこ この道を「啓ぼん」がアメ車乗り回してた あれは確か新東宝版「細雪」
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浜風がライト側からレフト側 ポールすれすれ逆転サヨナラスリーラン あおぞらが見えてきたシャツはまだずぶ濡れだけど 風も吹いてきたから歩いていこう クマゼミがシャーシャージョワジョワとても やかましくって今なんて言ったの？
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ひとすじの髪のふわりと風に舞い あいつの首にまつわり絡んだ 風船のふわりふわふわ川の上 捕まえたと思ったらするりと逃げた 自家製のバーボンソーダはまずいけど ジントニックなら捨てたもんじゃなくて熱帯夜 熱帯夜だろうが夜さえ来ればそれだけで 心うきうきあのころわしらは若かった ずらずらと街を歩けばたちまちに だらだら汗でもビールがあれば
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カッパッパルンパッパと父さんが 浮かれて帰って空には満月 暗い廊下の窓を透かして闇が凍える 汽車の汽笛が聞こえてきて冬 彼岸花咲く土手上のガタゴトバスから 手を振るあの子が行ってしまって秋
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終点で電車おりてもあてどなく 海辺にいちりん彼岸花の紅 ぼちぼちと花梨を盗みに行こか明日か 台風一過の秋空に訊く くいもんとビールが両手にガサゴソ重くて 野分過ぎひんやり模様もちょっと汗
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ポン酢より湯豆腐には醤油だれ なのだがこいつがなかなか売ってない 夕暮れの喧騒市場の物陰に 虎視眈々と痩せ猫二匹 京都奈良滋賀に和歌山大阪と あと一県は神戸･･･あいや兵庫だっけか
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日が暮れるまたもや無為の日が暮れると 焦ったあのころ豆腐屋のラッパ カタカタとサンダル鳴らして白い足 ふわりと浮いて路地裏の闇 初雪がふいにかすめて街灯チカチカ お疲れサンタの顎にまばらな無精ひげ
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